ドル建て 保険 リスク

ドル建て生命保険はリスクがある保険です

ドル建て生命保険は日本によくある貯蓄目的の保険の主契約通貨(使用するお金)を、ドルにした生命保険です。

運用効果のメリットと、為替と費用のリスク

円貨の保険よりも高い予定利率が期待できるので、貯蓄と保険を兼ねた、運用効果が高い資産形成として受け入れられています。

ですが、外国通貨保険であるドル建て保険は
●為替変動で、円貨での受払金額が変動する
●入出金の都度手数料が差し引かれる
●貯蓄目的の保険なのに大損する
このようなうリスクがあります。

まず、ドル建て保険とは

ドル建て保険は、主に終身保険、養老保険、年金保険があり、生命保険自体の仕組みは日本の保険と同じです。
各種生命保険に使用する通貨(主契約通貨)が、米ドル・豪ドル・NZ(ニュージーランドドル)になります。

外国の保険に加入するようなもの

厳密に言えば間違えですが、極端な書き方をすれば
日本語の説明が付いた
●アメリカの保険
●オーストラリアの保険
●ニュージーランドの保険
に、日本に居ながらにして加入する。ということになります。
実際に外国の保険に加入するのとは違いますが、感覚的にはこんな感じです。

ドル建て保険のリスク

ということでドル建て保険は他国の保険に入るようなものなので、日本の円貨の保険よりリスクが増えます。
為替変動と、為替手数料などの費用リスクがありますが、もう少し細かく書いてみましょう。

為替変動の影響があります

保険料や死亡保険金などの受払が円貨になっているのは、円貨で入金(保険料支払)出金(保険金や満期金などの受取り)ができる特約が付加されているためです。
よって円貨で受払しているドル保険でも、為替変動の影響は避けられません。

為替手数料が取られています

無料特約の付加で当たり前のように円で入金出金ができるドル保険ですが、これは受払(入金・出金)の都度 円→ドル ドル→円 に換算両替されています。
換算両替時に1ドルについて為替手数料が差し引かれます。

●安い保険会社:1ドルについて0.01円
■高い保険会社:1ドルについて0.50円

こんな感じで為替手数料が引かれ、保険会社によって(この記事を書いている時点で)最大50倍の開きがあります。
よって、選んだ保険会社、入出金回数や保険料などで、為替手数料という費用の大小が大きく違ってきます。
円貨建て保険では有り得ない費用を必要とするのも、ドル建て保険のリスクと言えるでしょう。

契約初期費用が必要です

円貨の保険には無い費用ですが、例えば一時払い保険料の○%などの契約手数料が、保険料が差し引かれます。

円貨保険料は毎回変動します

円貨で保険料を月払い・半年払い・年払いする場合、一回に付いての「ドル」での保険料が毎回一定額になります。
円貨で支払う毎回の保険料は為替変動の影響で、毎回変動します。
わかりやすくするため為替手数料を考えず、例えば毎月の保険料が500ドルの場合、円貨で支払う保険料は
三月:(1ドル=115.0円)→57,500円
四月:(1ドル=119.0円)→59,500円
五月:(1ドル=115.3円)→57,650円
と、変化します。

円貨払い保険料が一定というドル建て保険もあります。円貨保険料は毎月定額でも、換算両替後のドル建て保険料が毎月変動します。

円貨受取額も毎回変動します

例えばドル建て保険で、保険料一時払い(ドル建て保険加入時に保険料全額一回払い)をして、据え置き期間があり、その後一年毎にドル建てで一定額の給付金を受取り続けられる商品があります。

そうですね、毎年一回1,000ドルを受け取れるとしましょう。
これも毎年一回としても円貨にするときに為替変動の影響を受けるので、同じ1,000ドルでも
第一回:(1ドル=115.3円)→115,300円
第二回:(1ドル=118.2円)→118,200円
このようにドルで一定の受取額も円貨にすると一定額にはなりません。さらに一ドルについて0.○○円の為替手数料が差し引かれます。

為替差損に注意

保険金・満期金・年金のような大きなお金の受取りのときに、「円高」の度合いが大きいほど、大きな為替差損が生じて、支払保険料総額よりも戻りが少なくなる元本割れの可能性があります。

細かいことを言えば、先に書いた受払の時でも為替差損が起こると言えば起こり得ます。

例えば1ドル=112円の時に、一時払い保険料が20,000ドル→円貨で224万円のドル建て養老保険に加入したといます。
10年後の満期時に23,000ドルが確約されていたとします。
ですが満期時に1ドル=95円になっていたら、円貨の受取り満期金は218万円弱です。

ドルベースでは確実に増えているにもかかわらず為替差損で元本割れが生じます。
このようなリスクもあり得るのが、ドル建て生命保険なのです。

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ドル建て保険のメリット

ドル建て保険はリスクだらけみたいなことを書いてしまうと唯の悪口になるので、メリットも書いておきましょう。

円貨より高い予定利率が望める

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドのドル建て保険は、超低金利の日本よりも好予定利率を望めます。
例えば今販売されている10年満期の円貨の養老保険は元本割れの可能性がありますが、ドル建ての養老保険は、ドルベースでなら元本割れの可能性がほぼありません。

為替差益を望める

年金、満期金、死亡保険金等を受取るときに円安になっていれば、大きな為替差益が望めるかもしれません。
例えば1ドル=112円の時に2万ドル(224万円)のドル建て養老保険に加入し、10年後に23,000ドルの満期保険金になっていたとします。
このとき1ドル=120円になっていたら、円貨の受取り満期金は約276万円となり、単純に考えると10年間で52万円の利益になります。

このように、かなり大きな利益が期待できるのも、ドル建て保険なのです。
養老保険は死亡保険ですので、万が一の保険金保険の機能も付くという意味では、保障という安心も買えることになります。

円貨の保険より安く済む

例えばドル建て終身保険の場合、円貨の終身保険と同じような死亡保険金に設定すると、円貨の保険料より遙かに安い保険料になります。
これを応用して、今では予定利率が悪くて貯蓄効果が無い学資保険の代用としてドル建て終身保険を販売する保険会社があります。
ちなみに、学資保険の代用ドル建て保険として、ドル建て養老保険を採用する保険会社もあります。

資産の分散

ドル建て保険は外国保険とも言えるので、円貨資産を外貨に変換することになります。
これにより所有資産の複数貨幣化が可能になります。

最低積み立て利率保障など

為替の仕組みとは全く関係無い話ですが、基本的に積み立て利率が毎月変動するものの最低3%を保証している商品があります。
言い換えれば積み立て利率は3%を割ることが無いという、貯蓄性に工夫を凝らしたドル建て保険商品です。

実はドル建て保険は、お金を増やす方法と為替差損回避策を盛り込んだ商品が多数あるのです。

ドル建て保険・リスクの回避策

大きなリスクとメリットがあるドル建て生命保険ですが、リスクは少しでも軽減したいものです。そこで各生命保険会社は独自に為替差損回避策をドル建て保険商品に盛り込んでいます。

受取日の繰り延べ

保険金や満期金を円貨で受取りする時期が円高期で、そのまま円換算すると大きな為替差損で大損することがわかりきっている場合、円貨受取時期を延期することができます。

ドルで受取り

円貨で受取ると為替差損になるのなら、ドル口座を用意してドルのまま受取るというのも為替差損対策です。

複数回受取り

年金や給付金などの年一回の受取日がたまたま強烈な円高で、そのまま円換算受取りすると為替差損で大損することもあり得ます。

ドル建て個人年金保険の中には、年間4回、6回、12回など複数回受取りを設定している商品もあり、受取日に為替差損が起きそうな場合など、受取りを次回以後に回すことができます。

目標設定と円貨移行

またある商品は、一時払い保険料の105%または110%から200%までの間で、指定した倍率に達した時点で全額円換算することにより、以後の為替差損を防止する仕組みが組み込まれています。

個人年金の受取人死亡対策もあります

ドル建ての、特に個人年金は保険会社独自に工夫を凝らした為替差損策や、年金受取り期間中の年金受取人の死亡時の、残金支払対策などが凄く良く考えられています。
その分商品の仕組みが複雑になるので、必ず保険の専門家などに十分な説明を受けることが大切です。

商品の理解が大切

ここで紹介した為替差損回避策の他にも、各社独自の工夫を凝らした為替差損対策があります。

為替差損対策が全く組み込まれていドル建て保険もありますが、複数の為替差損対策が組み込まれた商品が多数なので、説明を聞くとちょっとややこしく感じるかもしれません。
為替差損対策は完全な理解ができるまで担当者や保険募集人、ファイナンシャルプランナーなどに、しつこく聞きましょう。

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ドル建て保険の向き不向き

ドル建て保険は大きな運用効果を期待できますが、リスクに対してある意味覚悟が必要です。

ドル建て保険を考えない方がいい方

・1円でも元本割れしたくない方
・余剰資金が無い方
・外貨は信用できない方
・為替?めんどくさいなぁ。と言う方
・一歩間違えれば大損を覚悟できない方
・保険は保障する目的に限ると言う方

ドル建て保険を考えても良い方

・資金に余裕がある方
・外貨に抵抗感が無い方
・資産の分散を考えたい方
・と保障と率の良い運用を兼用したい方
・為替リスクも費用もいろいろ覚悟できる方
・保険の専門家の細かい説明を、理解できるまでかっちり聞く気持ちがある方

ドル建て保険のリスクは為替差損リスクが目立ちますが、その為替差損リスクを回避するための対策が複雑化してしまうのも、商品を理解する上である意味リスクになってしまいます。

ですので、複数「社」のドル建て保険を比較して、(保険会社によっては最大50倍の違いがある)為替手数料の違いと、為替差損対策の違いを理解することはとても大切です。

また、一番大切なことは、予定利率の高さで為替差損を回避できる1ドルあたりのレートを試算・シミュレーションしてもらうことです。
ただ試算すれば良いというのでは無く、多くのドル建て保険の中でどのような為替差損回避策がある商品が最適かなど、積み重ねた経験による知識の蓄積が無いと、良いアドバイスができません。

ドル建て選びで営業職はリスクかも

ドル保険は、保険会社によって資金を増やす仕組みや為替差損回避策が全く違うので、複数の保険会社の商品を比較する必要があります。

自社商品だけの説明が許されている生命保険会社の営業職や、商品数が限られる銀行窓口などでドル保険の説明を聞くのは、少々危険です。

保険会社の営業職は普段円貨の保険を扱っているので、ドル建てについて慣れていません、最悪、保険のおばちゃんが勢いだけで営業トークをすることもあるそうです。
また、銀行員も普段生命保険の話をしないので、ドル保険といっても形だけの話になることもあります。

生保と銀行の営業職は、ドル建て保険の説明はできてもアドバイスは苦手な傾向があります。

ドル建て保険に慣れた人を

これらの説明やシミュレーションに一番最適なのが、金融・保険・税務などについての高度な資格保持者、FP(ファイナンシャルプランナー)だと思います。
とは言うものの、高度な資格よりも大切なのは、ドル建て保険の説明・アドバイスの経験数です。

為替の仕組みから説明し、さらに為替差益・差損の話をわかりやすく説明し、保険会社毎の為替差損回避策や運用の仕組みを明確に説明できるのか。が問われるのです。
最終的に、あなたの意向を汲んで複数社のドル建て保険から候補を絞るという、アドバイスができるかどうかが問われます。

例えば老後を考えてのドル建て保険選びなのに、保険のおばちゃんの、ドル建てについて説得力が感じられないノリノリトークは勘弁して欲しいものです。

ドル建て保険に慣れてた人を選ぶことが、保険選びについてのリスク対策になる。ということです。
そのようなことも考えると、やはりドル建て保険の説明・アドバイスはFPが有利になります。


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